フロントガラス上縁部へのサンシェード施工について
付録)フロントガラス上縁部へのETC車載機、フィルムアンテナ等の貼り付けについて
1.サンシェードとは
フロントガラスの一部が青くボカシになっている車を見かけたことがあると思いますが、この部分を「サンシェード」と呼びます。
ガラスにもともと着色されているものから、後付けでフィルムなどを貼り付けたものまでを含めて言います。
2. 関係法令引用 ※条文にない補足事項は青字になっています
● 道路運送車両の保安基準 ※骨子となる法律の条文です
第29条 自動車の窓ガラス(最高時速35キロメートル毎時未満の大型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車および最高時速25キロメートル毎時未満の自動車(幼児専用車および旅客自動車運送用自動車を除く)にあっては前面ガラス)は、安全ガラスでなければならない。ただし、衝突等により窓ガラスが破損した場合において、当該ガラスの破片により乗車人員が障害を受けるおそれの少ない場所に備え付けられたものにあっては、この限りではない。
2. 自動車(大型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車、最高時速25キロメートル毎時未満の自動車およびけん引車を除く)の前面ガラスは、次の基準に適合するものでなければならない。
(1) 破損した場合においても運転者の視野を確保できるものであること。
(2) 容易に貫通されないものであること。
3. 自動車(被けん引車を除く)の前面ガラスおよび側面ガラス(運転者席より後方の部分を除く)は、次の基準に適合するものでなければならない。
(1) 透明で、運転者の視界を妨げるような歪みのないものであること。
(2) 運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分における可視光線の透過率が70パーセント以上のものであること。
4. 前項に規定する窓ガラスには、次に掲げるもの以外がはりつけられ、又は塗装されてはならない。 ※この第4項がフィルムなどの貼り付けに関する規制です
(1) 臨時検査合格標章
(2) 検査標章
(3) 自動車損害賠償保証法(昭和30年法律第94号)第9条の2項第1項(同法第54条の7において準用する場合も含む)又は第10条の2第1項の保険標章、共済標章又は保険除外標章
(4) 道路交通法第51条第3項又は第63条第4項の標章
(5) 車室内に備えるはり付け式の後写鏡
(6) 前各号に掲げられるもののほか、はり付けられ、又は塗装された状態において、透明であり、かつ、運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分における可視光線の透過率が70パーセント以上であることが確保できるもの。 ※いわゆる「70パーセントルール」の骨子となる項目です
(7) 前各号に掲げるもののほか、運輸大臣又は地方運輸局長が指定したもの ※(第29条 別添 自動車の窓ガラスへの貼付物等の指定要領について(依命通達)の別記様式に基づく申請書を国土交通大臣に提出し許可を受けることが必要です)
● 検査実施要領 ※車検のときに検査員が判定の基準とするルールです
4−19−5 次の各号に掲げる側面ガラスは、保安基準第29条第3項の「側面ガラス(運転者席より後方の部分を除く。)」とされないものとする。 ※ここで、規制対象とならない窓の定義を決めています
(1) 運転者席より後方の座席等の側面ガラス
(2) 側面ガラスのうち、運転者席に備え付けられている頭部後傾抑止装置(※ヘッドレストのことです)の前縁(運転者席に頭部後傾抑止装置が備え付けられていない自動車にあっては、運転者席に備えられている背あての上部の前縁、運転者席に頭部後傾抑止装置及び背あてがが備え付けられていない自動車にあっては、通常の運転姿勢にある運転者の頭部の後端)を含み、かつ、車両中心面に直交する鉛直面より後方の部分
この場合において、スライド機構等を有する運転者席にあっては、運転者席を最後端の位置に調整した状態とし、リクライニング機構を有する運転者席の背もたれにあっては、背もたれを鉛直線から後方に25度の角度に出来るだけ近くなるような角度の位置に調整した状態とする。
4−19−6 保安基準第29条第4項第6号の「運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲」とは、次の各号に掲げる範囲(保安基準第44条第1項の後写鏡及び同条第3項の鏡その他その他の装置を確認するために必要な範囲並びに同項ただし書の自動車の窓ガラスのうち同項の表下欄に掲げる障害物を確認するために必要な範囲を除く。)以外の範囲をいう。 ※サンシェードの法解釈についてはここの(1)で述べられています
(1) 前面ガラスの上縁であって、車両中心線と平行な鉛直面上のガラス開口部(ウェザ・ストリップ、モール等と重なる部分及びマスキングが施されている部分を除く。)の実長の20パーセント以内の範囲 ※この項目がサンシェードを貼り付けできる根拠になります。→イラストによる解説を見る(近日中にアップします)
(2) 側面ガラスであって、自動車の側面に設けられた扉等より上方に設けられた窓ガラスの範囲
(3) 側面ガラスであって、自動車の側面に設けられた扉等の下部に設けられた窓ガラスの範囲
(4) (3)に掲げるもののほか、乗車定員11人以上の自動車及びその形状が乗車定員11人以上の自動車の形状に類する自動車の側面に設けられた扉の窓ガラスのうち、運転者席の座面を含む水平面より下方の範囲
4−19−7 前面ガラス及び側面ガラス(運転者席より後方の部分を除く。)のうち運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分における可視光線透過率が、着色フィルム等が貼り付けられ、又は塗装されたことにより、70パーセントを下回るおそれがあると認められたときは、可視光線透過率測定機を用いて可視光線透過率を計測するものとする。
ただし、可視光線透過率が70パーセントを下回ることが明らかである場合には、この限りではない。 ※ここで、可視光線透過率測定機を備え付けていなくても、いわゆる「フルスモーク」などは目視判定だけで不合格として良い、ということを決めています
4−19−8 窓ガラスに貼り付けられ、又は塗装された状態において、運転者が次の各号に掲げるものを確認できるものは、保安基準第29条第4項第6号の「透明であり」とされるものとする。 ※ここでステッカーや不透明な装置などの取り付けや貼り付けを規制しています
(1) 運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分にあっては、他の自動車、歩行者等
(2) 4−19−6(1)及び(2)にあっては、交通信号機 ※この項目によりサンシェードの色調によっては不合格となる可能性を示唆しています
(3) 4−19−6(3)及び(4)にあっては、歩行者等
付録)フロントガラス上縁部へのETC車載機、フィルムアンテナ等の貼り付けについて
1.フィルムアンテナ、ETC車載機をフロントガラスに取り付けるには「平成11年12月27日 運輸省告示第820号」に規定される仕様を満たしたものを、指定された位置および方法で取り付けなければなりません。
2.関係法令引用
● 平成11年12月27日 官報第2778号 9項 運輸省告示第820号
道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)第29条第4項第7号の規定に基づき、道路運送車両の保安基準第29条第4項第7号に規定する運輸大臣が指定したものを定める告示を次のように定める。
平成11年12月27日 運輸大臣 二階 俊博
道路運送車両の保安基準第29条第4項第7号に規定する運輸大臣が指定したものを定める告示
道路運送車両の保安基準第29条第4項第7号の規定に基づき、同条第3項に規定する窓ガラスにはり付け、又は塗装することができるものとして、次に掲げるものを指定する。
一 道路等に設置された通信設備との通信のための機器、道路及び交通の状況に係る情報の入手のためのカメラ、車両間の距離を測定するための機器、雨滴等を感知して窓拭き器を自動的に作動させるための感知器又は受光量を感知して前照灯、車幅灯等を自動的に作動させるための感知器であって、次に掲げる要件に該当するもの
イ 専ら乗用の用に供する乗車定員が10人以下の自動車(以下「乗用自動車」という。)にあっては、次の(1)又は(2)に掲げる範囲にはり付けられたものであること。
(1)運転者席の運転者が、JISR3212「自動車用安全ガラス試験方法」の付属書「安全ガラスの光学的特性及び耐候性についての試験領域」(以下「付属書」という。)に規定するV点から前方を視認
する際、室内後写鏡により遮へいされる前面ガラスの範囲
(2)付属書に規定する前面ガラスの試験領域B(以下「試験領域B」という。)及び試験領域Bを前面ガラスの水平方向に拡大した領域以外の範囲
ロ 乗用自動車以外の自動車にあっては、次の(1)又は(2)に掲げる範囲にはり付けられたものであること。
(1)運転者席の運転者が、付属書に規定するO点から前方を視認 する際、室内後写鏡により遮へいされる前面ガラスの範囲
(2)付属書に規定する前面ガラスの試験領域I(以下「試験領域I」という。)及び試験領域Iを前面ガラスの水平方向に拡大した領域以外の範囲
二 公共の電波の受信のために前面ガラスにはり付けるアンテナであって、乗用自動車にあっては次のイ及びロに掲げる要件、乗用自動車以外にあってはハに掲げる要件に該当するもの
イ 付属書に規定する前面ガラスの試験領域A(以下「試験領域A」という。)らはり付ける場合にあっては、機器の幅が0.5ミリメートル以下であり、かつ、3本以下であること。
ロ 試験領域B(試験領域Aと重複する領域を除く。)にはり付ける場合にあっては、機器の幅が1.0ミリメートル以下であること。
ハ 試験領域Iにはり付ける場合にあっては、機器の幅が1.0ミリメートル以下であること。
三 窓拭き器の凍結を防止する機器であって、次に掲げる要件に該当するもの
イ 乗用自動車にあっては、試験領域B及び試験領域Bを前面ガラスの水平方向に拡大した領域の下端より下方の範囲にはり付けられたものであること。
ロ 乗用自動車以外の自動車にあっては、試験領域I及び試験領域Iを前面ガラスの水平方向に拡大した領域の下端より下方の範囲にはり付けられたものであること。
四 駐留軍憲兵隊の発行する自動車の登録に関する標識
附則
1 この告示は平成11年12月31日から施工する。
2 昭和27年運輸省告示第198号は、平成11年12月30日限り廃止する。